近年、日本各地で発生する地震、台風、豪雨などの自然災害は、私たちの日常生活に大きな影響を与えています。自然災害への備えは、「いつか」ではなく「今」始めるべき重要な取り組みです。
災害対策は決して他人事ではありません。一人ひとりが自分の住環境を見直して現状を正確に把握し、どこに危険が潜んでいるのか、どのような対策が必要なのかを家族全員で確認し、被害を最小限に抑えるための取り組みが大切です。
本記事では、家庭でできる実践的な防災対策について詳しく解説します。
家具と家電の配置を見直す
住まいの安全性を高める第一歩として、家具と家電製品の配置を見直すことが重要です。地震発生時に最も多い負傷原因※は、家具の転倒や落下による外傷であることが明らかになっています。
低い家具を選ぶ
重心が低い家具ほど転倒しにくく、万が一倒れた場合でも被害を抑制できます。既存の高い家具については、上部に重いものを置かず下段に収納しましょう。
家具の配置に注意を払う
出入り口付近に大型家具を設置すると、転倒時に避難路を塞ぐ危険性があります。特にテレビボードなどの重量のある家具の配置には注意が必要です。
寝室の家具配置に注意して防災対策
就寝中は最も無防備な状態であるため、ベッドや布団の周辺には転倒の可能性がある家具を置かないことが鉄則です。鏡やガラス製の装飾品は、飛散の危険性があるため寝室には極力置かないようにしましょう。また、万が一の飛散に備えて、枕元に防災シューズを常備しておくと安全・迅速なな避難に役立ちます。
家具や家電製品の転倒・飛び出し防止策
L字金具による壁面への直接固定が最も確実な方法です。賃貸住宅では突っ張り棒タイプの転倒防止器具や粘着マット、ストッパーを併用することで効果的な固定が可能になります。
散乱しやすいキッチンの防災対策
キッチンは地震時には最も危険なエリアの一つとなります。食器棚の扉には耐震ラッチを取り付け、重い皿類は下段に、軽い食器は上段に配置する基本原則を守りましょう。ガラス製品や陶磁器は滑り止めマットや仕切りを使用して安定性を高めます。
強風に備えた防災対策
台風や竜巻などの強風災害に対する備えも重要です。庭やベランダの植木鉢やガーデニング用品は、強風時には危険な飛来物となるため、台風接近時は屋内に移動させるか固定することが必要です。エアコンの室外機やアンテナの設置状況も定期的にチェックしましょう。
窓ガラスと雨戸の防災対策
窓ガラスに飛散防止フィルムを貼ることで、ガラスが割れた際の破片の飛び散りを大幅に減らすことができます。雨戸やシャッターがある住宅では、動作確認を定期的に行い、レールの清掃や可動部分の注油により、スムーズな開閉を維持します。
雨樋は建物を雨水から守る重要な設備ですが、落ち葉やゴミが溜まると水の流れを阻害します。定期的な清掃により排水機能を正常に保つことが重要です。
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地震に備えた耐震リフォーム
わが家の耐震性能をチェックする
1981年5月31日以前に建築された住宅は、旧耐震基準で建てられているため注意が必要です。自治体が提供するチェックシートを使用した簡易診断や、専門家による詳細な耐震診断を検討しましょう。
耐震リフォームの方法
筋交いの追加や構造用合板による壁の補強は、比較的コストを抑えながら耐震性を向上させる方法です。基礎部分の補強や屋根の軽量化も効果的な手法とされています。また、耐震シェルターとして特定の部屋の内側に鉄骨を組み込むことで、家全体の耐震工事が難しくても倒壊から守ってくれる場所を家の中に設けるリフォームもあります。
避難経路の確認と確保
避難経路を整備する
自宅から最寄りの避難所までの道のりを実際に歩いて確認し、昼間だけでなく夜間の状況も把握しておきましょう。地域のハザードマップを入手し、複数のシナリオを想定した計画が必要です。
玄関・廊下の片付け
玄関や廊下に置かれた物品は避難時の障害となります。玄関には必要最小限のものだけを置き、階段の手すりや踊り場には物を置かないことが重要です。
飲料や食料を備蓄する
ローリングストックの重要性
日常的に食べる食品を多めに買い置きし、定期的に消費と補充を繰り返すローリングストック法により、常に新鮮な非常食を確保できます。レトルト食品や缶詰、乾麺などを中心に選択しましょう。
食料の備蓄目安
成人一人当たり1日3リットルの水を目安に、最低3日分、できれば1週間分を備蓄します※。無洗米やパックごはん、肉類や魚類の缶詰、野菜ジュースなど、栄養バランスを考慮した食品を準備し、カセットコンロやボンベも用意しましょう。
非常時の持ち出しバックを用意する
災害発生時に迅速に避難するため、事前に準備された非常持ち出し袋が必要です。玄関や寝室など、すぐに持ち出せる場所に設置し、家族一人につき一つずつ用意します。
3日分程度の飲料水と非常食、懐中電灯とラジオ、季節に応じた衣類、救急用品、現金や重要書類のコピーなど、避難生活を支える様々なアイテムを含めます。定期的な点検と更新も欠かせません。
家庭での災害対策は、今回ご紹介した対策を一つずつ実践することで、確実に家族の安全性を高めることができます。重要なのは完璧を求めすぎず、できることから着実に始めることです。
日頃から自然災害への備えを
いつ起こるはわかならい自然災害に備えて、家族との情報共有や避難計画の確認は定期的に行いましょう。また、地域の防災活動への参加や近隣住民との連携も、災害時の助け合いにつながります。今日から始められる対策を一つでも多く実践し、安心して暮らせる住環境を作り上げていきましょう。
もし、雨戸・雨樋などの不具合や耐震リフォームなど、いま災害対策で気になることがあれば、お気軽にわが家のマイスターにご相談ください。