日差しや雨を直接受ける屋根はどのような住居でも劣化しやすい部分です。
自分で手入れすることも難しいため、築年数が古くなるほど外観は汚れ、雨漏りや色褪せなどが目立ってくるようになります。

永く住み続けるため、屋根の劣化を感じてきたら早めに修繕することが重要です。
今回は、屋根の耐用年数や修繕費用などについて解説いたします。

 

 

目 次

屋根の種類と耐用年数

まずは屋根の耐用年数について解説していきます。
種類によって耐久性が異なるので、ご自宅に当てはまる箇所をご覧ください。

 

スレート屋根

丈夫な岩石である粘板岩(ねんばんがん)の屋根のことで、ポピュラーな屋根の建材の一つです。
一般的には薄い板状に加工して使用されることが多く、リーズナブルなのも人気の理由となっています。

耐用年数はおよそ20年前後と、他の素材と比較すると長くはありません。
しかし、定期的に塗装などのメンテナンスを施すことで、何十年も使用することができます。

 

瓦屋根

瓦は日本家屋のみならず、古くから海外でも使われてきた建材です。
非常に高い温度で焼かれて生成されるため、断熱性が高く、日光の熱などでは劣化しにくいという特徴があります。

耐用年数は50年以上と非常に丈夫ですが、瓦自体に重量があるため、外的な要因によって剥がれて落ちてしまうこともしばしばあります。
また、ものによっては耐水性が低く、雨や雪の水分を吸収してひび割れてしまうケースもあります。

 

金属屋根

金属屋根は、名前の通り金属を使用した屋根のことですが、その中でも様々な種類があり、耐用年数も異なります。
主な種類とその耐用年数は以下のとおりです。

  • トタン:10~20年
  • ガルバリウム:20~30年
  • ジンカリウム:40~50年
  • ステンレス:50年
  • 銅:50~60年
  • チタン:60年以上

このように、一言に金属屋根と言っても、耐用年数は全く異なります。
ただし、耐用年数が長い素材は費用も高額になる傾向にあるため、実際に一般家庭に使用されるのは一部です。

 

 

屋根をリフォームするタイミングは?

前述した通り、建材によって耐用年数には大きく差があるため、リフォームするタイミングも異なります。

ただ、その耐用年数の半分がメンテナンスを実施する一つの目安になります。
例えば、トタン屋根の耐用年数は10〜20年であるため、その半分の5〜10年に一度は状態をチェックし、必要に応じて修繕することが望ましいです。

また、塗装によっても異なります。安価な塗料だと紫外線や雨の影響により、数年で色褪せてしまうため、きれいな外観を保つためにも数年に一度は再塗装するのが理想的です。

 

 

屋根のリフォームの種類

屋根のリフォームにもいくつか種類があります。
それぞれ費用も異なりますが、基本的には以下の3種類に分けられることを理解しておきましょう。

  • 塗装
  • 葺き替え
  • 重ね葺き(カバー工法)

 

塗装

色褪せが目立つものの、破損や欠陥が見当たらない場合は塗装のみで問題ありません。
ただ、塗料にも種類があり、それによって性能や価格が異なることを理解しておきましょう。

例えば、最もスタンダードなのはシリコン塗料で、耐用年数の長さとリーズナブルさが魅力です。
カラーバリエーションも豊富であるため、思い切って屋根の色を変えてしまうのもおすすめです。

そして、近年人気が高まっているのがラジカル塗料です。
価格はシリコン塗料より少し高額ですが、平均耐用年数が3年ほど長くなっており、コストパフォーマンスに優れた塗料です。

 

葺き替え(ふきかえ)

葺き替え(ふきかえ)は、それまでの屋根を一度解体して、新しい建材に取り替える修繕を指します。
場合によっては屋根の下地部分にも手を加えるため、建材の劣化や雨漏りが広範囲に及ぶ場合に行います。

また、下地にあたる桟木(さんぎ)や野地板(のじいた)のみを交換し、建材は既存のものを再利用することを葺き直し(ふきなおし)と呼びます。

 

重ね葺き(カバー工法)

現在の屋根に被せるようにして、新しい建材を被せる工法を重ね葺き(かさねぶき)、あるいはカバー工法と呼びます。
解体や撤去の作業を伴わないため、葺き替えに比べて安価、かつ素早く屋根を修繕することが可能です。

ただし、新しい建材を追加する分、屋根そのものが重くなってしまいます。
そのため、安全性を維持するために、瓦のようなもともと重量のある素材を使っている屋根では行うことができず、新しい建材も軽いものしか選ぶことができません。

 

 

トラブルに応じたリフォームが必要

屋根の状態によって、どのリフォームが適切かは異なります。

  • 塗装
  • 葺き替え
  • 重ね葺き

屋根のリフォームや修繕としては、上記の3種類があると解説しましたが、よくある屋根のトラブルごとに、どれが適切かを解説していきます。

 

色褪せ

色褪せは放っておくと外観を損ねるだけでなく、深刻なトラブルに発展する恐れがあるため注意が必要です。
単なる色落ちだけではなく、カビや錆の発生が原因であることも考えられるため、まずは専門家に点検してもらいましょう。
ほとんどの場合は再塗装することできれいになりますが、色褪せの原因や程度によっては別の修繕方法も考えられます。

 

雨漏り

古い家屋でよく起こる雨漏りですが、侵入した雨水は屋根の隙間を縫って滴り落ちてくるため、実はどこに欠陥があるか特定するのは困難です。
再塗装や部分的な修繕で回復することもありますが、軽度の雨漏りの場合は重ね葺き、重度の場合は葺き替えを行う必要があります。

 

ひび割れ・欠け

ある程度築年数が経過したスレート屋根や瓦屋根には、建材のひび割れや欠けがよく見られます。
これらも放置すると、さらに重大なトラブルに繋がる恐れがあるため、早めに対処するのが望ましいでしょう。

破損が一部分に留まっている場合は、その箇所のみを補修するだけで済むため、費用も高くありません。
しかし、屋根全体に被害が見られる場合には、重ね葺きや葺き替えが必要になり、高額な修繕費用がかかることもあります。

仮に範囲が広くても、経年劣化によるわずかなひび割れであれば、再塗装するだけで隙間が埋まる場合もあります。

 

 

屋根リフォームの費用相場

屋根の面積が50㎡の一般住宅(20坪程度)の場合、それぞれの平均相場は以下のようになっています。

  • 塗装:70万円~
  • 葺き替え:120万円~
  • 重ね葺き(カバー工法):90万円~

塗料や建材などの材料費によって、費用は大きく変わります。
耐久性が高い素材は何十年も持ちますが、やはり費用は高くなってしまう傾向にあります。

上記の金額には材料費だけでなく、工費や足場の設置費用も含まれており、住居の構造によって費用が変動する可能性があることを覚えておきましょう。

 

 

多機能性を備えた塗料もおすすめ

塗料は種類によって耐久性に差がありますが、それだけではありません。
近年では、高い耐久性以外にも様々な機能を持った塗料が生まれており、その代表例が、遮熱・断熱機能です。
一般的な塗料より高額にはなりますが、屋根が熱を吸収しにくくなり、夏場でも快適に過ごせるようになります。

 

 

屋根の点検は専門家に相談

屋根のリフォームや修繕は、屋根の状態に合わせて行う必要がありますが、自分で点検するのは困難です。
2階の窓から1階の屋根を見るという方法もありますが、全ての住居がそのような構造になっているわけではありません。

そのため、数年に一度の頻度、あるいは大きな台風が通り過ぎた後などは、専門家に依頼して屋根の状態を見極めてもらうことが望ましいです。
もちろん、屋根の劣化に限らず、外観を一新したい場合にも屋根のリフォームは有効なので、「わが家のマイスター」までお気軽にご相談ください。