一軒家において、住みづらさや経年による老朽化に頭を悩ませた時に考えるのは「建替えか全面リフォームか」ではないでしょうか。

「全面リフォームするぐらいなら建替えでも……」と考える方は多いですが、その前にリフォームでどこまでできるのか、それぞれのメリットとデメリットを確認しましょう。

建替えかリフォームかの判断は、総合的に、そして長期的な視点で検討するのがおすすめです。

 

今回は「建替えか?全面リフォームか?」で悩む方のために

  • 建替えとリフォームの違い
  • それぞれのメリット、デメリット
  • リフォームでどこまでできるのか?
  • 建替えかリフォームで悩んだ時の判断ポイント

を解説します!

 

目 次

建替えとリフォームの定義

 

  • 【建替えとは】既存住宅を基礎から取壊し、建直すこと
  • 【リフォームとは】既存住宅の基礎部分を残し、部分的に改築・増築すること
  • 【リノベーションとは】リフォームの一種で、機能・用途を変更、性能を上げるなどして価値を向上させること

 

建替え・リフォームのメリット/デメリット

それぞれのメリット・デメリットを解説します。

※すべてのケースに当てはまるわけではありません。

 

建替えのメリット・デメリット

メリット

  • 間取りが自由に設計可能
  • 新築同様の家に住める
  • 耐震、断熱施工ができる
  • 高額ローンが組みやすい

 

デメリット

  • 工事が長期化する
  • 費用負担が大きい
  • 建替え不可能な建物がある

 

リフォームのメリット・デメリット

メリット

  • 必要な部分のみ改修が可能
  • 予算が組みやすい
  • 住みながら工事ができる(一部を除く)
  • 税金面の負担が少ない


デメリット

  • 建替えに比べて自由度が低い
  • 住宅の状態によって補修費が膨らむ

 

リフォームはどこまで実現できる?

基本的にリフォームでできないことはありません。

増築や建物の構造を変えるものは、法律の絡みや耐震性の問題で制限が出てくることもあります。

 

コンセントを増設する:可能!

増設、位置変更なども比較的簡単にできます。

 

耐震性を上げる:可能!

耐震性に課題がある場合は、構造や基礎を補強することで耐震性を上げられます。費用や工事の規模は、住宅の状態や構造、築年数によります。

 

断熱性を上げる:可能!

壁や床、窓やサッシに断熱材を入れて、快適な住まいにリフォームすることができます。

 

増築する:基本的には可能!

建築基準法や自治体の条例など、さまざまな法令制限を確認したうえで可能です。

ただし、法律や構造・基礎の問題で増築可能な範囲が異なります。

増築しない部分の耐震性も確認が必要です。一般的に建物は耐震基準が不一致だと倒壊のリスクが高まると言われているからです。

 

地下スペースを設ける:基本的には可能!

増築同様、さまざまな条件を確認したうえで可能です。

 

ロフトを設ける:基本的には可能!

ロフトは直下の部屋面積の2分の1まで、高さ1.4m以下の制限があります。

 

吹抜けをつくる:基本的には可能!

吹抜けをつくることで、住宅の強度が弱まる場合がありますので確認が必要です。

鉄筋コンクリート造の場合は構造的な問題で吹抜けをつくることが難しいケースもあります。また、平屋は吹抜けをつくれません。

階段が不安定な場合は転落を防ぐため、階段リフォームも同時に行います。

 

間取りを変更する:基本的には可能!

間取り変更の自由度は、工法・構造によって異なります。

まずはどんな間取りにしたいのかをリフォーム会社へ確認してみましょう。

また、水まわりの移動や増設も基本的には可能です。水まわりは現在使っている設備を使用するか、新しい設備を設置するかで費用が異なります。

 

窓を増やす・大きくする:基本的には可能!

窓を増やす、大きくすることで建物の強度に影響を及ぼす場合もあります。

建物の強度に影響がない範囲で可能と考えておきましょう。

 

建替えかリフォーム、判断基準・ポイントは

 

築年数・耐震/制震で考える

現状の住まいの老朽化がどれぐらい進行しているかは1つのポイントでしょう。

1981年 5月31日までに建てられた住宅には「旧耐震基準」が適応されています。リフォームする場合、今の耐震基準を満たすための耐震改修工事を同時に行うことも可能です。

建替えと費用を比較し、建替えとリフォーム、どちらが良いかを費用も含めて長期的視点で考えましょう。

 

耐震性には等級がある!


耐震等級0

上記で解説した「旧耐震基準」で建てられた住宅や構造部材の耐力が低下するほどの劣化が見られる場合、耐震等級0とみなされます。


耐震等級1

現在の耐震基準で定められた最低限の耐震性を持つことを示しています。震度6~7の地震でも建物が耐えうる強度を持つように構造計算されています。(実際に生じた地震の性質によって、震度も変わってくるため、あくまでひとつの目安です。)


耐震等級2

耐震等級1の1.25倍の耐震性を有している建物です。

長期優良住宅に認定されるには、耐震等級2以上が条件です。

 

長期優良住宅とは
長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備に講じられた優良な住宅のこと(引用:国土交通省)

 

具体的には、

  • 長期的に使用するための構造、設備を有している
  • 住居環境(温熱・空気・ 水環境)に配慮がされている
  • 一定の面積以上の住居空間面積を有している
  • 建物の維持保全の期間、方法を定めている

などの処置が講じられている住宅のことです。

 

耐震等級3

耐震等級1の1.5倍の耐震性を有している建物です。

住宅性能表示制度で定められた耐震性の中でも最も高いレベルであり、災害時の救護活動、災害復興の拠点となる消防署・警察署などは、その多くが耐震等級3で建設されています。

耐震等級は自分で選べる

ある程度予算をかけて耐震等級を上げるか、住みやすさを重視して耐震等級に目をつぶるのか、地盤の強さなどから耐震等級を決定するのか……さまざまな選択肢があります。耐震等級によって地震保険の保険料が割引されることもありますので、それらも考慮に入れたうえで、要望を伝えていきましょう。性能表示制度・長期優良住宅制度の評価項目の一つに「耐震等級」という項目があり、これらの制度を利用しないと割引が受けられないことがあります。

間取りを大きく変更したいか

リフォームでも間取り変更は可能ですが、構造の問題で理想通りにいかないこともあります。例えば、階段や壁の移動などは住宅の強度が弱まるなどの制限がかかることも。

どうしても叶えたい間取りがある場合、まずリフォーム会社へ相談して可能かを確認しましょう。

どこまでリフォームで対応できるかは、リフォーム会社、施工会社の技術力によっても異なります。

長期的視点で家族のライフスタイルを考える

家族で話合い、長期的な視点で考えることも大切です。

  • その家に何年住むか
  • その時の家族構成、ライフスタイルはどうなっているか

この先「子どもや孫に残したい」「この先30年以上住む」といった将来設計がある場合は、建替えをおすすめします。

もし、数年以内に家族構成、ライフステージの変化がある場合は部分的な修繕やリフォームに留めて少し待ってから判断することを推奨します。

 

費用で比較しコスト面を確認する

悩むポイントとしてはやはり費用でしょう。

「トータルコスト」と「可能なこと」を長期的視点で比較してみましょう。

 

上記で“この先何年住むのか、家族構成、ライフスタイルもポイント”と解説しましたが、耐震リフォームやバリアフリーリフォームを行う場合は、多くの自治体で固定資産税の減免制度を設けています。

全面リフォームか建替えか、いずれにせよ大規模な工事となりますので、時間も費用もかかります。それぞれを比較・検討した上で、慎重に選ぶ必要があります。どうしても自分では決めかねるという場合は、ぜひ、一度わが家のマイスターへご相談ください。

住まいのプロがお客さまのご要望やご予算にピッタリなご提案をいたします。